速く歩けるようになるダンスのプログラム監修
名古屋学院大学 リハビリテーション学部 准教授
佐藤菜穂子 博士
認知症予防にもなり、かつ速く歩くことができるようになる「10歳若返りダンス」教室を受講中の8週間に、その後の人生をより健康で楽しく過ごしていただくために、自分のライフスタイルに合った食習慣や口腔ケア、生活習慣や運動習慣の「良い習慣」を実践していただき、前向きに行動変容を促すことを目指すプログラムです。(主催:大阪府、運営:日本ストリートダンススタジオ協会)
吹田市立総合保健センター
東住吉区民ホール
生野区民センター
カモンたかいし(高石市)
タツタ電線体育館(東大阪市)
サポートやお(八尾市)
久宝寺コミュニティーセンター(八尾市)
高石市 総合保健センター
摂津市立新鳥飼公民館
市立青少年センター(東淀川区)
平野区老人福祉センター
大阪市立新東三国小学校(淀川区)
歯科医師会による口腔ケア講座
大阪府警による見まもり散歩講座
スマホセミナー後の個別相談
保健師による災害時に備えた体力作り講座
(株)ビズジーン様による歯周病菌検査
奈良医大による口腔ケア・食習慣講座
社会福祉協議会による認知症予防講座
オレンジチームによる介護予防講座
→ これらの要素が全ての振付に入っています
名古屋学院大学 リハビリテーション学部 准教授
佐藤菜穂子 博士
年齢を重ねるごとに、歩行スピードはどうしても落ちてしまいます。歩行スピードが落ちることは、健康リスクの上昇だけではなく、認知機能の低下にも悪影響を与えます。
速く歩けるようになるためには、「歩幅を広くする」「足の回転を速くする」「安定した姿勢を保持する」ことが必要で、これらの要素を含んだダンスのプログラムを、名古屋学院大学リハビリテーション学部の佐藤菜穂子准教授とNSSAが共同で作成しました。
ダンスは音楽に合わせて仲間と同じ動きをするため、「楽しんで」練習ができることが最も大きな特徴です。音楽に合わせて、楽しみながら、自然と上記の3つのポイントを身につけることができます。また一定のリズムに合わせて振り付けを踊ることによって、速く歩くことに必要なリズム感も身につきます。
ダンスの楽曲を変えると新しい振り付けに次々にチャレンジをすることができるため、飽きが来ません。ダンスの練習に前向きに取り組むことにより、「少し踊れるようになった!」「速く歩けるようになった!」といった小さな成功体験をきっかけに、「体を動かすことが楽しい」「皆でワイワイするのが楽しい」と感じることが出来れば、運動を積極的に行うようになる高齢世代を少しでも増やせるのではないかと考えています。
今回の全会場の参加者の平均年齢は73.3歳です。
これらの測定項目の全国平均値を活用し、参加者の測定結果から、全国平均値と比較して若返り年齢を数値化しました。
30秒イス立ち上がり | TUG | FRテスト | |||
---|---|---|---|---|---|
5歳以上若返り | 10歳以上 | 5歳以上若返り | 10歳以上 | 5歳以上若返り | 10歳以上 |
86% | 65.30% | 38.80% | 17.80% | 63.60% | 60% |
3種類の測定項目のいずれかで、10歳以上の若返りを達成された方は88.8%、5歳以上の若返りを達成された方は93.4%となりました。
10歳若返りダンスの実施前と比べ、実施後ではFRテスト、30秒イス立ち上がりテスト、TUGテスト、すべてにおいてt検定で有意に改善しました(p<0.01)。またそれらの体力年齢もすべてにおいて有意に若返りました(p<0.01)。これらの結果から、10歳若返りダンスを実施したことで、足の筋力、バランス能力が改善し、転倒のリスクも下がることが示されました。行動範囲も拡大することが予想され、心身ともに若返ることができたのではないかと考えます。
上記全項目において、t検定で0.000(1%水準で有意差あり)
認知機能・行動変容監修 奈良県立医科大学 老年看護学講座 教授
澤見一枝 博士
ダンスの健康効果として、ダンスは有酸素運動なので、心肺機能の向上や筋力の増強、一定時間リズムに合わせて運動を続けるための持久力の向上、四肢を動かすことで関節可動域の拡大や柔軟性の向上などがあります。さらに、音楽に合わせた動きを行うことで脳を使い、振り付けを記憶することで認知トレーニングにもなります。ダンス初回と7回目に、認知テストを行いました。その結果、即時再生(覚えてすぐの記憶)、符号変換(実行機能や注意力)、語想起(長期記憶の語彙記憶から名称を想起する)、遅延再生(少し前に覚えたことを思い出す)といった一連の課題が、すべて有意に向上しており、脳も若返りました。
TUGはすべての認知機能(即時再生、遅延再生、符号変換、語想起)と-0.4前後の相関があり、中でも符号変換は最も高い相関でした。つまり、歩行速度が速いほど、記憶力も記銘語の想起も高く、最も関連していたのは注意・遂行能力でした。
上記の内容について、以下に論文が掲載されています。
European Journal of Medical and Health Sciences
大阪市淀川区での実践(10月19日〜12月14日)においては、南海トラフ地震で津波が発生した場合、淀川と神崎川に挟まれたところに位置する淀川区は、かなり広範囲での浸水の被害が予想されているため
を目標に、防災にも強いダンスプログラムとして、淀川区社会福祉協議会と共同で、災害時に「避難所」となる小学校をお借りして、8週間に渡り、歩幅を広くしたり、足の回転数を上げるなどの要素を盛り込んだ「速く歩けるようになるダンス」の実践と同時に、防災に対応するためのミニ講座なども実施しました。
淀川区会場の参加者を対象に、上層階への垂直避難の速度を計測するため、小学校の1階から3階まで登る速さを測定し、ダンス実施前と、ダンス実施後の結果の前後比較を行いました。
7.07秒短縮されました(淀川区会場の参加者の平均年齢は74.17歳)
日時 | 2024年3月26日(火)10時〜12時 |
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会場 | 大阪市立新東三国小学校 体育館 |
主催 | 大阪市淀川区社会福祉協議会、公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会 |
協力 | 奈良県立医科大学老年看護学講座、名古屋学院大学リハビリテーション学部 |